04
EDITOR'S SELECTION

塩蔵鳴門わかめ

徳島 福山さん / 株式会社貴彩
VENDOR
株式会社貴彩
ORIGIN
徳島県鳴門市 里浦
SEASON
通年
VOLUME
500g×2パック
SHIPPING
6月〜9月は冷蔵便、10月〜5月は常温便
i

鳴門の速い潮に揉まれて育った葉は、噛めば音が立つ

ii

機械にはできない手の感覚で、一枚ずつ裂いて芯を取る

iii

噛むほどに香りが出て、海の景色が見えてくる

¥2,800
TAX INCLUDED
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FILM 01:08
— FROM THE MAKER
毎日海に出るから、分かる

刈った瞬間に光っているかどうか。二十年、海に出つづけた目が、その一枚を見分ける。

福山 正史 ── 株式会社貴彩 取締役常務
— EDITOR'S NOTE

海の景色が、見えるまで

車を降りると、風が通った。海から来ているのが、立っているだけで分かる。最初に通されたのは加工場。ステンレスの機械が、列になって低くうなっている。その奥の台だけが静かだ。わかめの山と、それを裂く手。

わかめが一枚ずつ裂かれていきます。刃は使いません。芯のところに指をかけて、そのまま引く。太さも曲がり方も一枚ごとに違うから、機械には任せられないのだそうです。台の上では、同じ手つきが淡々と続いていました。ひとシーズンで四十万パック。そのすべてが、この手を通っていく。

これだけの手を通ったわかめは、口に入れるとどうなるのか。味のほうから聞いてみたくなりました。

食感を言葉にしてください、と福山さんにお願いしました。少し考えてから、こう返ってきました。コリコリ、が一番近い。でも硬くはない。噛めば噛むほど海藻の風味が出てきて、海の景色が見えてきたら正解です。

昼は近くの店に連れて行ってもらいました。定食の味噌汁にわかめが入っていて、噛んだ瞬間に違うと分かりました。この土地ではわかめがこうなのか、それとも良い店を選んでくれたのか。そこは分かりません。ただ、いつも家で食べているものとは別ものでした。

海風の気持ちよさに後ろ髪を引かれながら、東京に帰りました。台所で、いただいたわかめをふんだんに入れて味噌汁をつくる。ひと口で、あの風の通る海辺がもどってきました。正解、というのはこれのことか。

加工場。ステンレスの機械が列になって並ぶ
ステンレスが列になって、低くうなっている。静かなのは、その奥の台だけだ。
台に積まれたわかめを、指で一枚ずつ裂いていく手
台に積まれたわかめを、一枚ずつ。刃は使わず、指で裂いていく。
手に乗せた、身の詰まった塩蔵わかめ
手に乗せると、思ったより重い。身が詰まっていて、香りが立つ。
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WORTHY
— THE MAKER

四十秒を決めるまで

刈ってきたばかりのわかめを、原藻という。茶褐色のまま、まだ湯を通していない状態のものだ。これをその日のうちに、湯に入れる。

温度は九十度。その年の最初に刈った一番刈りなら四十秒、次に上がる二番刈りは五十秒ほど、春が進んで三番刈りになると一分近く。葉の肉厚が違うから、見ながら秒数を変える。ただし一分以内。これは動かさない。

越えると、しばらく経ってから葉が赤くなる。炊きすぎる、と呼んでいる。湯から上げた直後は分からない。気づいたときには、もう戻らない。

この秒数は経験で決めた。二十年ほどやっている。最初の頃は二分ほど入れて、真っ赤にして、使いものにならなくしたこともある。失敗を重ねて、ここに行き着いた。

湯を通したら塩蔵し、芯を取る。ここは機械ではできない。刃も使わない。葉のつけ根に指をかけて、そのまま手で裂いていく。芯の太さも曲がり方も一枚ごとに違うから、どこで分かれるかは指が探る。硬いところが残れば口に当たるし、深く裂きすぎれば葉が痩せる。

袋に詰め、金属探知機を通すところまで自社で行う。シーズンで四十万パック。その一枚ずつを、手で裂いている。

港を背に、商品を手にした福山さん
四十秒を決めたのは福山さん。二十年かけて、ここに行き着いた。
針が九十度を指す温度計
針が九十を指す。一番刈りなら、ここで四十秒。
湯を通す前の原藻と、通したあとのわかめを並べて比べる
湯を通す前と、通したあと。この差が四十秒。
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— THE PLACE

二月のわかめは、光っている

鳴門海峡は、幅が一・三キロしかない。その細い口を、瀬戸内海と太平洋の海水が一日に二度ずつ行き来する。両側の水位差は、大きいときで一・五メートル。行き場のない水が時速十三から十五キロで走り、大潮のときは二十キロに達する。そこへ海底の入り組んだ地形が重なって、渦が立つ。

わかめは、その流れのなかで育つ。引かれつづけた葉は厚くなり、しなやかになる。噛んだときに歯が返ってくるのは、そこで踏ん張った結果だ。

貴彩があるのは、その鳴門の里浦。刈るのは一月から四月にかけて。なかでも二月、三月に上がるものは新わかめと呼ばれる。

刈った瞬間、わかめは光っている。二月に入る頃のものは、ピカピカと光る。四月になるとくすみが出てくる。二番刈り、三番刈りとなれば、くすみもシワも入る。一番刈りには、それがまったくない。

並べて見せられれば、誰でも分かる。ただ、一枚だけ差し出されて言い当てられるかというと、それは別の話だ。毎日海に出ている人だけが、その一枚を見て分かる。

船の上。ロープごと引き上げたわかめを刈り取る
潮に引かれつづけた葉を、ロープごと船の縁まで引き上げて刈る。
刈り上げたばかりの、光っているわかめ
上がったばかりのものは光っている。二月に入る頃がいちばんで、四月になるとくすみが出る。
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— MAKE IT YOURS

流水で、三分

塩蔵なので、食べる前に塩を抜く。葉の部分だけなら、流水で三分ほど。

抜くのは、そのとき使う分だけでいい。味噌汁一杯ならひとつまみで足りる。残りは塩蔵のまま冷蔵しておけるので、五百グラム二パックを少しずつ、長く使っていける。

定番はやっぱり味噌汁、と福山さんは言う。ご自宅でもそれが一番多いらしい。ほかにはサラダ。あるいは何も加えず、すだちをかけて。

コリコリとした歯ごたえが立つのは、手を加えないときだ。噛むほどに香りが出てくる。

流水で三分、塩を抜いたわかめを器に盛る
葉の部分だけなら、流水で三分ほど。それで塩が抜ける。
わかめと豆腐の味噌汁
定番はやっぱり味噌汁だという。一杯ならひとつまみで足りる。
炊きたてのご飯に、塩を抜かないまま混ぜたわかめご飯
炊きたてに、塩を抜かないまま混ぜた。わかめの塩気だけで、味が決まる。
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